建設コンサル野郎の愚痴ブロ

このブログは、地方の弱小建設コンサルタント会社で上水道の設計に勤しむ男がダラダラ愚痴を書くブログです。

「おぅ連立方程式くん、久しぶり!」~コンクリート診断士解説~

 

昨日、コンクリート診断士を勉強している友人からLINEが入りました。

連立方程式が解けんから手伝ってくれ。」

 

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問題はこちら

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僕はコンクリート診断士は保有していないので、

「いや分かるわけないやん」

と思ったのですが、とりあえず話を聞いてみることに。

 

どうやらこの問題は、センサーを使ってコンクリート「ひび割れ深さ」を推定するというもの。解法としては、二つのセンサーについてそれぞれ「位置」「ひび割れ深さ」「伝搬時間」について関係式を立てて、その方程式を連立させて、解となる式を導出するというもの。

まぁさっぱり分かりません

僕だったら速攻解説を見て、公式を丸暗記して「はい次の問題!」なのですが、

彼はどうしても自分で導出したいとのことでした。

 

僕は

「困っている人を見たら、自分が苦しくならない範囲で助けてあげよう。」

と思ってるタイプなので、とりあえず一緒に解いてみることにしました。 

ではさっそく、解いていきましょう。

解説を見よう

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こんな感じの関係図になるみたいです。

ほぅなるほど。

ひび割れ箇所の両側に超音波センサー?を設置して、超音波伝搬時間のズレを利用して「ひび割れ深さ」を推定するということみたいです。

ちなみに超音波伝搬速度Vの値は与えられていない。

 

解説を見ると

・ひび割れ深さ

・センサーの位置

V×伝搬時間

これら3つが図にある通り「直角三角形」の関係にあることが分かります。

 ってことで解答の手順としては次の通り。

計算の手順

STEP1V×伝搬時間」を斜辺とした直角三角形を考える

STEP2 三平方の定理により辺の長さの関係式を作る

STEP3 式を連立させてdを求める式を導出する。

 という感じです。

 

 

じゃ早速いきましょう。

STEP1  V×伝搬時間を斜辺とした直角三角形を考える

まず一つ目のセンサー(ひび割れに近い側)について考えます。

ここで

ひび割れからセンサーまでの距離を「a

ひび割れ深さを「d

一つ目のセンサーの伝搬時間を「t_1

二つ目のセンサーの伝搬時間を「t_2

 とします。

 

まず斜辺の長さはV×t_1です。

(距離=速度×時間ですからね)

つまりこうなりますね。

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 では次に二つ目のセンサー(ひび割れから遠い側)について考えます。

 二つ目のセンサーは一つ目のセンサーから倍の距離で配置するみたいです。

同じように考えるとこうなりますね。

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じゃ次は

STEP2 三平方の定理により辺の長さの関係式を作る

直角三角形の辺長の関係式で表しましょう。

三平方の定理のおさらいです。

「斜辺以外の2辺の長さをそれぞれ2乗して足すと、斜辺の長さの2乗に等しくなる」

でしたね。

つまり一つ目の式は

 a^2+d^2=(V\times t_1)^2

こうなりますな。 

  

二つ目の式は

(2a)^2+d^2=(V×t_2)^2

 とこんな感じ。

 

ってことで並べるとこうなります。

a^2+d^2=(V×t_1)^2・・・①

(2a)^2+d^2=(V×t_2)^2・・・②

最後にこの二つの方程式を連立させて

ひび割れ深さdを求める式を導出するということです。

友人はここで躓きました。

 

STEP3 式を連立させてdを求める式を導出する。

はいいきましょう。まずこの問題、伝搬速度Vが未知数なんですよね。

このVって超音波伝搬速度なんですが、多分この値はコンクリートの状態によっても異なるから未知数ってことなんでしょうかね。

 

ってことは未知数であるVを消す方法を考えるのが妥当です。

文字を消すための代表的な方法は「代入」です。

①式をV=の式に変換して②式にVを代入

こんな感じでいけるのではないでしょうか。

 

組立てていきましょう。

①式より

(V×t_1)^2=a^2+d^2

左辺の二乗を外して、右辺をルートで囲います

V×t_1=\sqrt{a^2+d^2}

両辺をt_1で割って、左辺をVだけにします。

V=\dfrac{\sqrt{a^2+d^2}}{t_1}

これで①式をV=に変換できました。

ではこのVを②式に代入します。


まず②式を整理します。

(V×t_2)^2-4a^2-d^2=0

Vを代入します

(\dfrac{\sqrt{a^2+d^2}}{t_1}×t_2)^2-4a^2-d^2=0

ちょっと整理

(\dfrac{t_2\sqrt{a^2+d^2}}{t_1})^2-4a^2-d^2=0

()^2を外します

\dfrac{t_2 ^2(a^2+d^2)}{t_1^2}-4a^2-d^2=0

分数が気持ち悪いのでt_1^2を掛けます

t_2^2(a^2+d^2)-4a^2t_1^2-d^2t_1^2=0

展開します

t_2^2d^2-d^2t_1^2-4a^2t_1^2+t_2^2a^2=0

d^2a^2で括ります。

d^2(t_2^2-t_1^2)-a^2(4t_1^2-t_2^2)=0

aの項を右辺に移動

d^2(t_2^2-t_1^2)=a^2(4t_1^2-t_2^2)

d^2=に変形

d^2=\dfrac{a^2(4t_1^2-t_2^2)}{(t_2^2-t_1^2)}

はぁ疲れた。あとはd=に直すだけ

d=a\sqrt{\dfrac{4t_1^2-t_2^2}{t_2^2-t_1^2}}

これで完了です。

あとは数字を代入するだけです。

 

友人くんもすっきりしたと喜んでくれました。

よかったよかった

疲れたので寝ます。