建設コンサル野郎の愚痴ブロ

このブログは、地方の弱小建設コンサルタント会社で上水道の設計に勤しむ男がダラダラ愚痴を書くブログです。

水道コンサルが解説する「排水弁閉め忘れ・・水道代600万円」

みなさんどうもどうも。

yahooニュースにこんな記事が載ってました。

news.yahoo.co.jp

兵庫県庁にある地下貯水槽での出来事。

貯水槽内部の清掃をした際に、県庁の職員が排水弁の閉栓作業を失念。

水が1か月間垂れ流し状態となり600万円超の水道料金が発生してしまったという事案。

これについて考えてみましょう。

この記事だけでは詳細は不明ですが、このような事態が発生した要因を考えてみたいと思います。

まず、道路に埋設された配水管から管を引き込み、水の供給を受けることを「給水」と言うのですが、この「給水」を受ける方法として大別して4種類あります。

細かい説明は避けますが、今回はこの4種類の内、受水槽方式というものに該当します。

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こんな感じで、配水管から一旦貯水槽に水を受け、貯まった水をポンプ(P)で加圧し給水する方式です。この方式は病院や学校など一度の大量の水が使われることが想定される施設に設置されます。

設置の利点としては、

  • ポンプにより高層階にも給水できる
  • 配水管が断水しても、貯水槽内の水が残っている限り給水のできる。(災害時など)などあります。

設計目線で考えると、

  • 貯水槽により水消費の変動が抑えられるため水道管の口径検討などが容易となる。
  • 工事の際に仮設配管などが不要な場合がある。といった感じです。

欠点としては、

  • 電気代がかかる。(停電時は供給不可)
  • 定期的な清掃が必要となる。

などが考えられます。

そして今回は、この欠点として挙げた「定期的な清掃が必要となる」これが起因となってますね。ある一定量以上の貯水槽は、毎年1回以上の清掃点検が義務付けられています。これは貯水槽の設置者、つまりこのケースでは県庁ですね。に義務付けられているのです。

僕は受水槽の清掃に関して詳しくないのですが、清掃内容としては、内部に異物がないか確認したり、ブラシやモップなどで壁面は細部のカビ、汚れを除去するというものかと思います。飲用水を溜めておく施設なので薬品などは基本使わないと思います。

そして一通り掃除をした後は、そのまま水を溜めてしまうと折角除去した汚れが含まれてしまうので、水を入れる+排水弁から流すという作業を一定時間行い水を循環させるのだと思います。

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そして今回の事案が起こった背景を予測するとこのような感じかと思います。

県職員:うぃーおつかれー

清掃業者:あ、おつかれさまでーす。

県職員:掃除終わったー?

清掃業者:はい、ほとんど終わりまして、あとは流すだけですね。

県職員:あ、ほんと、まぁ時間もアレだからあと俺がやっとくわ。

清掃業者:あ、いいですか?じゃお願いします。

県職員:1時間くらいしたらこの排水弁閉めればいいだよね?

清掃業者:そうですね、1時間もあれば水は入れ替わるかと思います。

県職員:ウィー了解っすー

県職員:1時間か、まだ大分時間あるし、戻って仕事の続きでもするか。・・

県職員:はぁ今日も疲れたー、飯どうしよっかなー

排水弁:あれ俺忘れられてね?

こんな感じではないでしょうか。(勝手な予測なので全く違うかもですよ)

 

つまり、うっかりミスですね。ではなぜこの様なミスが発生してしまったのかね。

再三言うように詳しい状況が分からないのでなんとも言えないのですが、

気になる点としては、清掃業者は貯水槽の清掃の委託を受けていた訳ですよね。

清掃というのはこの排水作業も含まれているのではないですか?

ということは、この作業は本来、清掃業者が行うべきものだと思うのですがどうなんでしょう?

県職員は恐らく立会いをする役目があったのだと思いますので、もちろん落ち度はありますが、全責任をこの県庁職員に背負わせるのは少し可愛そうな気がしてしまいます。

記事によると、水道代600万円の内、半分は県職員が負担したとのことです。

 

二重チェックなどの体制が整っていれば起きなかったとはずですが、そもそもチェック体制が整備されていなかったか、よくある話ですが、制度が形骸化してしまって機能していなかったかですね。県庁の体質にも問題があると思います。

では話を変えて、なぜ1か月もの間、垂れ流しに気が付かなかったのか。

それは水道の検針が2か月に一回。直接メーターの目盛を読みに行くという

昭和丸出しなことをしているからですよね。

スマートメーターであれば異常流量を検知した場合は通報するなどのシステムを構築するのは容易かと思うので、このような事態も防げた可能性があります。

電気やガスなどは既にスマートメーターに移行し、わざわざ現地へ行かなくともリアルタイムの使用量が把握できるようになってきてますね。

水道も試験的にスマートメーターを導入している自治体はありますがまだまだですね。

県庁では再発防止のため、毎月2回の巡回点検を始めたほか、定期清掃時の職員の立会いを二人に増員したらしいです。流量計を付けてテレメータ盤で飛ばすというのはコストが掛かるし、しょうがないけど。うーんって感じですね。

一刻も早く、水道のスマートメーター導入と、関係ないけど水道料金のクレカ対応お願い致しますわ。

 

以上お疲れ様でした。